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飲食業の課題に気付き、
事業転換を図っていた矢先のコロナ禍。
日本の未来を考え、事業再構築を行う

株式会社ゲイト

回答者
代表取締役 五月女 圭一
事業内容
飲食・漁業・リラクゼーションサロン事業、ペットフード製造など

居酒屋事業を撤退し、新たな事業に挑む

リラクゼーション事業や接骨院などを展開していた当社が居酒屋事業に進出したのは2010年。14年には23店舗まで増加、さらに、100店舗まで増やして上場を目指すというシナリオを描くまでに発展していました。

しかし、その頃から原価率の増加に悩まされるようになりました。原因は2011年の東日本大震災。当時、原発事故による電気料金の値上げが、何社も関わるサプライチェーンの中で影響を与え、毎年10〜15%も上がっていく原価率に苦しみました。

加えて、飲食業界は不特定多数の人が来店され、それもいつ来るか分からないという旧態依然のビジネスモデルのままで、将来のビジョンが見えません。「これではだめだ」と飲食業界における自社のやり方を変えることにしました。

当時の仕入れ費用は年間1億円ほどかかっていました。しかし、「仕入れに多額の費用を支払うよりも未来あるものに投資したほうが良い」という考え方に転換。問屋などからの仕入れを止め、自社での原材料の確保に乗り出しました。15年から山梨県で農業を、18年からは三重県で漁業も開始しました。居酒屋の店舗数は10店舗に減らし、5年で事業の軸足を食材調達事業へと移す予定でした。

また、社員の希望者を対象にフリーランス制を導入し、出来高制の報酬でモチベーションをアップさせ、自立した働き方ができるようにしました。指示を待つ労働者ではなく、自分で工夫して考え、生き生きと仕事をする人材を増やしたいと考えたからです。

そこに新型コロナ感染拡大による緊急事態が発生。居酒屋の予約キャンセルが入り始めたのが20年2月15日。そこから半月で4,300人の予約がキャンセルになりました。毎年3~4月は企業の宴会ニーズが集中する書き入れ時ですが、20年の3~4月は過去最低の売り上げで、4月は前年比95%減。その後の緊急事態宣言の発令で休業を余儀なくされました。

5月、私はいち早く緊急事態宣言が解除された大阪に飛びました。何か起きた時には常に先進地に行き、自分で実地を見聞するのが私のやり方です。そこで、企業の宴会ニーズが戻っていないことを痛感し、帰京するとすぐに10店舗のうち9店舗の居酒屋の撤退を決めました。

5年かけて居酒屋運営から食材調達事業へ転換するはずのシナリオが、コロナ禍により一気に加速しました。飲食業だけで6億円あった売り上げがゼロになったので、その代わりになる事業を育てていかなくてはなりませんでした。

漁業に関わり、新しい漁業の価値を生み出す

当社は何業かと問われたら、「再構築業」と答えます。居酒屋運営という飲食業をやっていましたが、それは一面に過ぎず、様々な産業の課題を新しい視点で解決していくことが当社らしさだと考えています。

現在は、漁業に注力しています。とはいえ、従来の漁業のやり方ではありません。県外の企業が漁協の組合員になって魚を獲っている事例は当社が日本で初めてだそうで、当社は漁業の価値を新たなものにしたのです。

昔ながらの漁業は衰退の一途だったため、価値の捉え方を変えようと考えました。18年に漁船を購入し、自社で漁業を行うことから開始。売れない魚や美味しいのに食用として一般的ではなかった魚を、食材として活用する取り組みを進めてきました。

さらに、漁港につくった加工場を利用して、新鮮な魚を使った猫用の無添加ペットフードの製造を行い、専用のオンラインショップで販売しています。また、都会では知り得ないような新鮮な魚の美味しさを消費者に伝えるため、漁業の現場に来てもらう仕掛けも展開しています。

この体験はコロナ禍においてリッチな体験の1つになると考えています。まさに新しい価値の創造です。そこから交流が生まれ、さらに新しい価値やビジネスが生まれるでしょう。何かと何かが交わればイノベーションが生まれるからです。

このような新しい事業により生まれた仕事は社員がそれぞれ担当しているので、コロナ禍により売り上げが激減しても社員の解雇はしていません。

国力の向上を目指し、企業や人を繋ぎたい

根本的には、自社の売り上げを上げるとか利益を増やすという視点ではなく、日本の国力を高めたいと思っています。国力を高めるために会社としてどのような貢献ができるかを考えています。

当社は漁業に関わっていますが、日本の漁業自体は大ピンチです。14万人の漁業従事者が高齢化などにより毎年7千人減っており、魚も獲れなくなっていることから若いなり手も多くありません。そのため、漁業は何なのか、何のためにやっているのかと考え直すところから始めて、再構築するのです。

漁業に限らず、どの産業でも昔ながらの考え方でやっていては生き残っていけないでしょう。そういった場に再構築事業を行う当社が実証実験企業として存在しているのだと自負しており、その役割をこれからも果たして行きたいと思います。

デジタル革命が起きている中、産業がデジタル化して形を変えることも必要です。当社の実証フィールドの例を挙げると、スマート漁業という、ブイを浮かべてそのデバイスから魚のいる場所などの情報を集める仕組みなど、今まで人間の目で見えなかったものをデジタルで補完できるような漁業のあり方を目指しています。

既存の業界のやり方を見直す「再構築」から世の中の役に立つ事業を新たに確立していくことは、当社1社でできることではありません。そのため、パートナー企業の開拓や産学連携にも積極的に取り組んでいます。「ピンチの時にしか本当のチャンスは来ない」、そう思えば、今は変わっていく大きなチャンスなのだと言えるのです。

  • 企業名 株式会社ゲイト
  • 所在地 〒 130-0024 東京都墨田区菊川1-13-8五月女ビル菊川6F
  • 創業年 1999年
  • 従業員数 38人
  • 業種 サービス業
  • URL https://gateinc.jp