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世界の先端技術と日本のものづくりの架け橋に。
コロナ禍でも挑戦を続けることで自社の役割を果たす。

愛知産業株式会社

回答者
代表取締役社長 井上 博貴
事業内容
溶接技術、冶金技術を中心に海外技術を輸入する技術商社

現場に入れない。海外渡航ができない。展示会ができない。コロナ禍の制限の中、営業活動をどうするか

当社は祖父が溶接材料の輸入業で創業した当初から日本のものづくり産業に貢献するという思いがずっと基盤となっており、受け継いできています。ものづくり産業のいろいろな現場の改善や産業の発展に繋がるような提案や提供に努めてきています。私は、何事にも前向きに挑戦しながら真摯に丁寧に仕事をするのがモットー。常に周りに感謝しながら、仕事を通じて社会に役立つ存在でありたいと願っています。

技術商社の当社ですが、単に最先端の技術を輸入して販売するのではなく、社内に技術部隊としてエンジニアリング部門を有しており、ものづくりの現場の生産性向上に資する情報の収集や提案、機器の据付、メンテナンス、修理、アフターサービスまで一貫して行えます。海外の機器にプラスアルファとして当社の長年培った技術とノウハウを兼ね合わせて現場に最適な解決策を提供できるのが強み。

2018年には神奈川県に相模原事業所を開設してその中に工場を新設しました。従来は、品川区にある本社ビルのフロアで取り組んでいましたが、内製化を充実させると同時に社内に蓄積されているノウハウをしっかりと次の展開に活用できる体制を整備し、よりものづくり企業のお役に立てる存在を目指しています。ここでは最先端の3D機械やドイツ製の最新鋭の工作機械なども扱っています。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、当社のような設備関係の業界にはやや遅れて夏頃から現れました。機器を収めても現場に技術者が入れないので検収できない、海外のスーパーバイザーや技術者が渡航禁止で来られない。先の見通しがわからないので予算があっても話が進まない。

したがって、納品から検収までの時間が延びたり、多くの案件が延期になったり凍結したりして、売上は前年比3割まで減少しました。本来、当社は展示会で新規のお客様と出会い、受注につながるのですが、その展示会がほとんど中止もしくは一部開催となったため、出会いの機会を喪失し、それも業績に厳しい影響を与えました。思うように動けないというのがいちばんの課題でした。

「技術は嘘をつかない」から、未来に向かって努力を積み重ねる

社内向けの対策としては、感染対策の徹底を迅速に実施し、リモートワークも早い時期から行い、社員の自宅からVPNの接続を開始するなど仕事環境の整備も推進。営業の面では、AIを用いたマーケティングツールやwebマガジンを活用してデジタル販促に注力しています。web会議はお客様とも行いますが社内でもかなり頻繁に行い、情報の共有を迅速にしてすぐに次の展開に動けるような体制づくりを心がけました。

大学の先生が感染症封鎖の一環としてフェイスガードを製作する3Dプリンターの設計図を公開していることを知りました。コロナ禍の最前線で働く医療機関の皆様に当社の技術で役に立てるならと自社の3Dプリンターで製造しました。作成したフェイスガードは品川区と相模原市、医療従事者に寄付しました。これは当社らしくベルト部分も衛生的な樹脂にするなど改良を加えて喜んでいただけました。

また、少子高齢化という社会的課題もあって、以前から自動化、無人化による生産性の向上というニーズはありましたが、コロナ禍により密を避けることがクローズアップされ、2020年夏以降、相談が増えています。当社がこれまで多く手掛けてきた溶接、切削、搬送などの領域だけでなく、研削研磨など負荷の大きい現場、作業環境が悪い現場でのニーズが増加しており、これは新たなビジネスチャンスとなっています。 さらに、従来は海外の製品と一部自社のオリジナル製品を扱っていましたが、コロナ禍で時間ができたことを活用して、自社製品の開発に注力しています。

これまでの歩みを振り返ってみて「技術は嘘をつかない」ということは揺るぎない真実です。技術力を高め社内の開発に注力することにより先が見えてくると確信しており、その考えを共有しているため社員たちも「自分たちで未来を作ろう」と率先して取り組んでいるのが嬉しいことです。社会が大変なスピードで変化を続けている中、当社がそれに対応していけるような仕組み作りや考え方を共有し展開していくことを重視しています。

技術動向を常に把握し、日本のものづくりを支え続けたい

産業用ロボットでものづくりの生産性や合理化を図ってきた今までのあり方からさらに発展させ、今後はAI、IoTなどを活用したものづくりの現場の構築に貢献したいと考えています。お客様と一緒に本当の現場の問題解決に取り組めるパートナーでありたいという思いを描いています。

当社は海外と日本のインターフェース役として、日本の中で守らなくてはいけないものを守りながらその役目を果たしていきたい。守らなくてはいけないものは、中堅企業や中小企業であり、ものづくりの技術です。日本の技術は世界中から最高だと賞賛された時代が長く、そこにあぐらをかいてしまったために海外に追い越されているものもあります。

例えばドイツではマイスター制度を始め教育の制度が確立され、企業体でも若手をしっかりと育てなくてはいけない仕組みがあり、不況でも研究開発費を確保することが未来を作るという考え方があります。そうすることで優れた技術が生まれ、継承されていく。

日本ももう一度ものづくりの原点に立ち返って、技術向上に努めるとともに、今の世代が次の世代に継承し教育していかなくてはなりません。当社では、常に海外の技術を紹介するのと同時にその技術をお客様が使いやすいようなシステムに構築し、さらにそれを使いこなせる教育にも十分に対応することにより、日本の技術の発展に寄与していきたいと願っています。

私の祖父が1947年に設立した公益財団国民工業振興会では、技術調査、技術情報の提供、中小企業振興のための施策並びに技術支援を行うことを趣旨としています。現在は、Landing Pad Tokyoという事業部を設立し、日本の中小中堅製造業クラスターの「バーチャルネットワークの核」になることを目指しており、最近ではカナダを中心にした海外からイノベーティブな先端技術や新たな知見を積極的に紹介、導入しています。

小さな変化、小さな挑戦というマイクロイノベーションにより、マイクロバブル、小さな泡を生み出しそれを大きくして会社の変化に貢献しようという目標に向けて、かなり頻繁な活動を行っています。小さな挑戦を積み上げていけば、大きな変化に繋がる。それが未来への夢を拓くことになると思います。

  • 企業名 愛知産業株式会社
  • 所在地 〒 140-0011 東京都品川区東大井2-6-8
  • 創業年 1927年
  • 従業員数 150人
  • 業種 製造業
  • URL https://www.aichi-sangyo.co.jp