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祖父の代から創業100年余、
時代の変化とともに
挑戦し続けた事業の変容が
強みとなっている。

有限会社ミツミ製作所

回答者
代表取締役 山田 賢一
事業内容
切削加工

取引先の見直し中にコロナ禍というダブルパンチで、売上激減

当社は創業者である曾祖父の代から数えると約100年の歴史を有しています。その間、金属加工の町工場として自動車、光・通信、半導体など時代の変化とともに関わる業界が変わり、結果的に金属、非金属、樹脂の精密切削加工業として幅広く対応できる技術を培ってきました。現在は医療機器関係が伸展しており、内視鏡の部品などを製作しています。

私が社長に就任したのは2016年。以来当社の強みである対応力を活かした分野に注力してきたこともあり、現在では先代の父から受け継いだ顧客は2社だけになりました。大量生産大量消費の時代から多品種小ロットの時代に移り変わり、扱っているアイテム数は年間200〜300、通算では2千を超える様になりました。

数年前に先を見通して業種や売上の偏りをならしていこうと、当社の強みを活かせない取引先から撤退するなどしたため、しばらく売上を落としていました。その取り組みが落ち着かないうちに新型コロナウイルスが発生し、売上への打撃が拡大しました。コロナ禍で自動車業界の仕事が大きく落ち込み、さらに医療分野は手術が先送りになったため病院の経営が悪化し医療機器部品もその影響を受けました。

仕事もものづくりも与えられるものではなく、自ら作るもの

日頃から多くの方々のご支援ご協力があるおかげだとつくづく思うのですが、新型コロナの感染拡大の気配が始まったかなり早い段階で金融機関からの借り入れができ、少しのことではビクともしない資金を確保することができました。資金の手配ができたからこそ目先の売上の減少にとらわれず、次の手を考えるゆとりができています。

困ってから動くのではなく、困る状態になる前に手を打つ。相撲で言えば、土俵際で「残った、残った」と踏ん張っても新たな問題が発生すると寄り切られてしまう。できれば相撲は土俵の中央で取りたいと心がけています。こうした日々の取組みをここ数年間重ねてきたことで、当社らしい事業展開ができるようになってきていると実感しています。

当社の事業展開の重要な要素となっている展示会やECサイトですが、こうした流れの端緒はキセル。喫煙具のお客様と10数年ほど前から取引があり、リーマンショックの大打撃を受けた際、こんな時だからこそ出来る事と思いオリジナル商品として初めて製作したオリジナル商品がキセルです。それをきっかけに当社が葛飾区の認定企業に選ばれました。そして、展示会へ出展したりECサイトを立ち上げたりしたのです。 リーマンショックがきっかけで自ら仕事を作る事が出来ました。

展示会に出るようになったのは8年ほど前からです。当初の目的は製造担当にも自分たちが毎日工場でやっていることを説明する機会を作ろうと出展しました。研修の意味合いも強かったのですが、さらに展示会に向けて、仕事に繋がらなくてもいいから来場者が足を止めてくれるようなオモシロいものを作ろうと取り組みました。当社は小さな町工場でありながら設計や開発も行う事ができる強みがあるのでお客様のPB商品の開発も可能です。PB商品の1つであるヨーヨーは展示会で来場していたヨーヨーの世界チャンピオンの目に留まり、その方とのご縁がきっかけで、ベアリングメーカーと3社共同で毎年新製品を開発するチームを結成するに至っています。

コロナ禍前に大手取引先との売買契約が2件確保できたのですが、そのご縁のきっかけは当社のホームページへのお問い合わせから。また、ヨーヨー、コマなどのオリジナル商品の展開は展示会やSNSを活用しており、ECサイトの売上はコロナ禍でも好調です。

金属加工業の請負加工しか出来なかった頃と比べると、周りから何をやっているんだろう?と思われていたかもしれない。社内外から「それをやって何になる?」と聞かれたこともありました。しかし、挑戦とは成功する事が目標ではなく一歩前へ踏み出す事が重要で、踏み出す事により課題や今まで見えなかった景色や目標、人の繋がりが広がります。そうする事により自社の描きたいものがより鮮明に見えて来て、次の行動のきっかけとして育んでくれます。そういった繰り返しを継続する事が大事だと思います。

目指せ、D2Cハイブリッド町工場

コロナ禍で開催される東京2020大会も挑戦そのもの。私自身が経営においてずっと挑戦ばかり続けてきたので、東京大会の挑戦を応援したい気持ちでいっぱいです。そして、その成功にエネルギーを得て、当社もさらに挑戦していきたい。

目下の私の経営におけるキーワードは「ストラクチャル・ホール」。シカゴ大学のバート教授が提唱しているもので、構造的な隙間と訳されます。異業種交流の一種とも言えますが、交流の中央にいるのではなく、人と人の繋がりの隙間にいることでさまざまな情報が得られ、それにより新たな気づきやヒントを得ていくという視点。例えば、当社のような製造業と商店街の花屋さんは全く接点がないように思えますが、BtoCがメインと思われている花屋さんが実はBtoBでメインの売上を生み出していたら、その仕組みを学ぶことで当社も新たなビジネスのあり方を考えるヒントが得られるかもしれない。今まで接触したことのないような人たちのビジネスの仕方や利益を生み出す仕組みを知ることは自身の大きな変革の元になるかもしれないという捉え方です。

コロナ禍の中でもオリジナル商品のジャイロコマでクラウドファウンディングに挑戦し、世界最大アメリカのクラウドファウンディング、キックスターターを利用し目標額の1082%を達成しました。今後は海外向けのECサイトを活用し海外展開もしていきたいと構想も描けました。地元企業と共に立ち上げた若手団体「ものコト100」や「東京商工会議所葛飾支部青年部」の同世代と切磋琢磨し多様な人たちと交わりながら、新しい発見をして、さらに対応力を高めたD2Cでハイブリットな町工場を目指していきたい。そんな可能性に挑戦していきたいと考えています。

  • 企業名 有限会社ミツミ製作所
  • 所在地 〒 124-0012 東京都葛飾区立石2-28-14
  • 創業年 1982年
  • 従業員数 7人
  • 業種 製造業
  • URL http://www.mitsumi-seisakusyo.co.jp