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手作りのカレールウで創業70年余。
基本を守りつつも変化に対応、
多くの方に美味しさを届けたい。

ワタナベ食品株式会社

回答者
代表取締役 渡邉 正道
事業内容
カレールウ製造・販売

コロナ禍で飲食店向けのニーズが激減

工場で大量製造する大手メーカーのカレールウとは異なり、当社では、私が毎日銅釜を用いて、直火焙煎で手間暇かけて作っています。コクのある風味がありつつも、エキスや保存料などの添加物を入れていないのが特徴です。

生の小麦粉、油脂、14〜18種類のスパイスとワイン、フルーツなどを使って、釜に直接火を当てて100℃〜140℃でじっくり時間をかけて丹念に焼き上げてルウを製造。焼き上げたルウは少量ずつトレーに移し、1日冷却・乾燥させてフレーク加工し、袋に充填して完成となります。

保存期間や味付けの面で便利な食品添加物が多く存在し、機械化による生産効率化が進んでいる現代社会で、なぜ、わざわざこのような手間暇のかかる愚直な製造スタイルを貫いているのかと思われるかもしれません。しかし、この製造方法こそ創業以来当社が守り続けた尊い財産であり、エキスや保存料を使用していないことも含めて他社と差別化できる強みだと自負しています。

戦後まもない1947年に祖父が配給の小麦粉からうどん屋を始め、日本蕎麦屋を経て、手作りカレールウを事業とする会社に発展させてきました。2代目の父もその製法をしっかりと受け継ぎ、そして今3代目の私も毎日カレールウを作り続けています。

祖父や父の代は日本蕎麦屋など飲食店に卸す問屋へのBtoBを主な営業ルートとしてきましたが、店主の高齢化や後継者不足で蕎麦屋の廃業が増えるなど飲食店頼りの売上に懸念がありました。そこで、私が社長に就任した2007年からはBtoCにも取り組み、ホームページを充実させ通販を始めました。こうした取り組みにより、何度もテレビなどで取り上げてもらう機会を得ました。テレビ放映後は通販の注文が一気に増加。また多くの方に知っていただいたことから、海上自衛隊でも当社のカレールウを採用。2018年頃からは南極の昭和基地の食材としても採用され、南極観測船しらせに積まれて赤道を超えて南極まで当社のカレールウが運ばれて行きました。

近年は訪日客が増えるとともに、日本のカレールウはインバウンドのお土産として人気で、当社のルウは特に中国や台湾のお客様から好評を得ていました。こうした取り組みにより、売上の構成比はかつての飲食店向けが全てだった状況から変化し、飲食店向け4割:小売6割に。地域のイベントなどにも出展して着実に当社のファンを増やしている手応えも得ていました。

しかし、2020年は新型コロナウィルスの影響がじわじわと来て、秋には売上前年比4割減、その後も前年比2割以上減、緊急事態宣言中は巣ごもり需要で通販の売上が好調でしたが、その後は全体の売上を補うまでには至っていません。

これまでにない販路に向けて、カレールウのプチギフトを開発

「カレーは国民食。幅広い年代の方に美味しいカレーを食べていただきたい」というのが、私の願いです。その実現に向けて今までも取り組んできました。地域の産業フェアなどのイベントに出展して、祖父の作ったカレー、父の作ったカレーは年配の方にリピーターが多く、若い世代があまりいないことに気付きました。

そこで自分と同じ世代にも食べていただけるようなカレールウを開発し、祖父から見た私が作ったことも意識し「孫」というネーミングをつけて販売しています。基本的な製法や、極力、添加物を使用しないところは先祖代々と同じですが、トマトの酸味やフルーツの甘みがしっかり入っており、現代的なスパイシーなカレーとなっています。コロナ禍以前から商品開発にも取り組んでおり、新しい切り口での販売を考えていました。以前、当社のルウを納めている蕎麦屋で噺家さんが高座をした際の手土産に、ルウを採用していただいたことがありました。

こうした経験からヒントを得て、もっとカレーが人々の身近な存在にならないかと考え、プチギフト商品を開発しました。プチギフトはちょっとしたプレゼントに用いられますが、お菓子系やコーヒーなどが多く、カレールウはこれまで見当たりません。

そこで、当社では手頃なサイズで色々な用途に使えるデザインのパッケージを取り揃え自社製品のルウを入れて、販売を始めました。のし紙のように送り主の名前を入れることも可能。パッケージは自社のプリンターでオーダーに応じて印刷するので一般の方向けの小ロットでも対応でき、またビジネスで挨拶の時の話のタネになったりノベルティとしても使用できたりと種々の用途が想定できます。ギフトを扱う店などでの販売の話も進めているところです。このギフト用商品を開発したことにより、これまでにない販売ルートの開拓に繋がり、新たな売上を生み出すポテンシャルを感じています。

元競泳選手だったからわかるアスリートの挑戦の気持ち。当社も挑戦し続ける

実は私はもともと競泳をやっていたので、東京大会でも特に水泳は楽しみです。日々努力し挑戦を続けているアスリートの気持ちを思い、平和の祭典という趣旨を改めて考え、とにかく開催に向けて応援したい気持ちです。

今、開発に取り掛かっているのは、グルテンフリーのカレールウです。小さなお子様にも小麦粉アレルギーは少なくなく、そのせいでカレーが食べられない子がいると聞くとなんとかしたいと思います。小麦粉の代替として米粉を用い、油も米油にして、赤ワインの代わりに日本酒を使えば、全て米揃い。その構想で試作を重ね、本当にコクのある美味しいカレールウを完成させたいと思っています。

未来を担う地域の子供たちにも、地元で作っている唯一のカレールウ専門店のことを知ってもらおうと、学校給食に採用していただけるよう働きかけております。そのためには給食で定められている栄養成分などをクリアする必要があり、それに対応できる改良にも取り組んでいきます。

通販やイベントなどを通じてお客様の声が届くことが私にとって一番のモチベーション。胸焼けするからカレーを敬遠していたという高齢者の方が、じっくり自家焙煎した当社のカレーを食べてファンになってくださったという話など、どれだけ商売の励みになることか。今後もお客様の声から新たな商品のニーズを把握し、それに対応できる商品を開発し、より多くの方に当社の美味しいカレーを食べてもらいたいという思いでいっぱいです。

  • 企業名 ワタナベ食品株式会社
  • 所在地 〒 124-0012 東京都葛飾区立石4-15-3
  • 創業年 1947年
  • 従業員数 4人
  • 業種 製造業
  • URL http://www.asahicurry.com/