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創業86年の製麺事業。
高付加価値かつ
多様な商品開発を続け、
盤石な経営基盤作りを図る。

玉川食品株式会社

回答者
代表取締役 関根 康弘
事業内容
麺の製造、卸し、販売

インバウンド、学校給食、飲食店など主要な需要がコロナで軒並みブレーキ。窮地に立たされる

東京23区で唯一の乾麺メーカーである当社は、茹で麺、蒸し麺も製造し、和洋中のさまざまな麺を作っています。創業者である祖父の時代の1960年から現在まで毎年11月23 日の新嘗祭の奉納用のうどんを納めさせていただいています。

私は3 代目ですが、北区のこの地で麺の製造業という家業を見ながら育ちました。東京は地代家賃が高いため、広い敷地を確保することが困難なうえ、人件費も高く都内23区で製造業を続けることは大変厳しいハードルがあります。さらに地方からも一大消費地の東京に攻めてくるので競争が非常に激しい。その環境下で乾麺を粛々と製造しても利益が少ないため廃業が続き、ついに現在は23区で唯一当社だけが残っているという状況です。

先代社長の父が話していたのは、うちは自社で作り、自社で売る場所(直売所)を持っているから続けられるのだと。乾麺の「満さくうどん」は、湯捏製法と熟成乾燥製法により、乾麺なのに生麺のようなモチっとした食感があり、稲庭うどんに負けない美味しさで、当社の主力商品となっています。製麺所の1階には直売所があり、対面で販売しています。常連の方から感想などもいただき、美味しさを追求してきました。長年地元の方に鍛えていただいたので、東京は消費地だけではなく生産地なのだという強い思いがあります。

遡ること約10年前の2012年、東京産の原材料や伝統的手法等を使って作られた食品として認める東京都地域特産品認証に挑戦し「満さくうどん」が合格しました。この認定食品が良い意味で自分たちの自信にもつながり、当社の経営を支えました。2016年に私が社長に就任してからは江戸玉川屋というブランドをさらに磨いていこうと決意しました東京家政大学と女性アスリートの身体づくりに貢献することを目指した麺を開発する産学連携など試行錯誤を繰り返し、様々な取り組みをする中で、キャラクターを冠した製品作りにも挑戦し、ライセンスのことも勉強する機会にもなりました。

さらに企業からのオファーに応じて開発していくうちにそれを知った新たな企業から声がかかり、次々と大手企業とのコラボが実現でき、商品は200種類ほどにまで拡大。最近ではインバウンド向けに浮世絵のパッケージに入れた商品なども充実させて空港や土産品店などに販路を拡大し、売上は順調に伸びていました。また、都内6区175校の学校給食指定工場であり年間150万食の給食麺を供給、関東圏の事業所へ年間15万食、神宮球場へ焼きそば麺を年間5万食供給しています。売上構成はBtoBが9割、自社直売所のBtoCが1割です。

必死で取り組んできたことが実り、さらなる飛躍をと歩みを進めようとした矢先に新型コロナウィルス感染症という事態が発生。渡航が制限されインバウンド需要は消滅、学校は休校で2〜5月まで学校給食はゼロ、多くの企業が在宅勤務になり事業所のニーズもゼロ、イベント自粛で神宮球場などのニーズもゼロ。麺を卸している飲食店も休業や閉店が続き、売上が激減。八方塞がりとはこういうことでしょう。2020年4月の売上が最悪で前年比6割減、昨年全体では前年比3割減となりました。

商品開発ライセンス取得。今までの経験を最大限活かす

まず助成金や金融機関からの融資で当面の雇用を守る資金を確保しました。その上で、コロナによる売上激減の対策を考えました。そんな時に浮かんできたのは、祖父、父と伝えられてきた「いいものは、いい」という家訓のような教えです。食品づくりにおいては美味しいからニーズがあるのだ、もう一度その気持ちでこの危機を打破していこうと前向きになったところに、地元の北区からオファーがありました。

2021年2月放映スタートのNHK大河ドラマの主人公・渋沢栄一翁は北区の飛鳥山の邸宅が終焉の地。渋沢翁は2024年に新1万円札の顔になることも決定しています。そこで、北区では地元を盛り上げていこうとプロジェクトを立ち上げ、当社も声をかけていただきました。満さくうどんのパッケージを変えればすぐにでも発売できますが、地域に根ざした当社だからこそできる、世にない製品を送り出そうと考えました。

文献を読み調べていくと渋沢翁は晩年オートミールをよく召し上がっていたと発見。そこでビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富なスーパーフードのオートミールに、現代人に必要なプロテインを加えた麺を開発しました。渋沢翁のイラストをデザインしライセンスを得て、ドラマのタイトルもパッケージに入れて、第一回放映日の2021年2月14日に発売を開始。産学連携や大手企業との製品開発、ライセンス取得のノウハウなどこれまで挑戦し続けてきたからこそ、危機の中でもチャンスを見出すことができました。

この新商品を、自社のwebサイトと直売所、地元の駅の販売店、飛鳥山の大河ドラマ館の土産店などで販売。コロナによる巣ごもり需要で、時間をかけて作る乾麺のニーズが高まっていることも追い風となっています。この製品を通じて、ぜひ北区を知っていただいて、多くの方にお越しいただく事で地域に貢献していきたいと思います。

自社ブランドの展開の可能性を広げて、東京23区唯一の乾麺生産者として可能性を広げたい

東京2020大会は世界から注目されるビッグイベント。現在は渡航制限もあり、インバウンドは厳しいですが、日本への関心は高いはず。旅行や物流などの企業が中心になって展開する「Fan Japanプロジェクト」に当社も参加しています。アジアの日本好きの方に、当社の商品や日本の良さを発信することで架け橋になっていきたいと思います。

さらに、自社のキッチンカーで自社製品を使った焼うどんや焼きそばを販売するという販促活動を2021年6月からスタートする予定。「自分たちで作ったものを、自分たちで売る」という当社の方針の新たなモデルとして確立させたいと思います。

多くの方に食して、感想をいただくことで東京の生産者としてできる事を考え、自社だけでなく地域のために貢献できる企業をめざしていきます。こうした活動を進めることで、従業員も誇りを持って仕事に取り組め、モチベーションも高まります。当社は今後も挑戦を続け、伝統に根ざした高品質食品メーカーとして、未来へ新しい歴史を切り開いていきます。

  • 企業名 玉川食品株式会社
  • 所在地 〒 114-0003 東京都北区豊島7-5-12
  • 創業年 1935年
  • 従業員数 20人
  • 業種 製造業
  • URL https://edo-tamagawaya.jp