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限りある資源を
未来の子供たちへ。
「ボトルtoボトル」の
国内循環を根づかせたい。

協栄産業株式会社

回答者
代表取締役社長 古澤 栄一
事業内容
合成樹脂の再生加工販売

コロナ禍で飲料やアパレルメーカーからの需要が急減。多くの在庫を抱える中でも、社会インフラとして決してリサイクルの環を止めない

現代社会の生活において大量に使われているペットボトル。当社では、物性劣化をさせずに不純物を除去し再びペットボトルの原料としてリサイクルする「ボトルtoボトル」を手がけています。

天然資源がほとんどない日本において、「使用済みペットボトルは毎日街から湧き出る良質な都市油田」であり、それを貴重な資源として蘇らせる事業を営んでいます。当社のお客様はペットボトルを容器として使用する飲料メーカーや石油を使用しない環境に優しい素材として、欧州サッカークラブのユニフォームをはじめとする衣類などにリサイクル原料を利用するアパレルメーカーなどです。

2020年1月頃から「新型コロナウィルス感染症は未曾有の影響を与えるのでは」と危機感を抱いていました。4月の緊急事態宣言以降、業界には予想以上に大きな影響が現実のものとなりました。外出自粛により家で過ごすことが多くなったことからアパレル需要が大幅ダウン。さらに4月、5月の行楽や学生生活などがはじまるシーズンで外出できなくなった影響で、自販機やコンビニでのペットボトル飲料の購入が急減してしまいました。飲料メーカー向けに販売するペットボトルのリサイクル原料は需要の時期より3カ月ほど前倒しで製造するため、4月以降の需要減で当社の在庫がパンク寸前に。さらにコロナ禍を受け、リサイクル原料と競合する原油由来原料の価格が急落しました。

環境に優しいリサイクル原料とはいえ、価格差が大きければ経済合理性の観点から使われなくなってしまいます。一方、市町村が回収したペットボトルを当社が買い取る金額は年2回の入札で決定され、どんなに大きな市況変動があったとしても、その価格が半年間を通じた仕入額になってしまいます。新型コロナの影響でマーケットが縮小する中、さらに原油価格が下落する中、仕入値は変わらないにも関わらず、リサイクル原料の販売価格は引き下げざるを得ない状況に陥りました。

そのような厳しい事業環境下でも、日々家庭などから排出される大量のペットボトルを回収しない訳にはいきません。私たちの経営に影響があるからといって市町村から引き取らないことになればペットボトルがゴミとして街にあふれ、社会混乱が起こってしまうからです。私たちが担う仕事は社会インフラだという思いを改めて強く抱きました。

どんな時でもリサイクルの灯を消してはいけない、それが当社の使命そのものです。

リサイクル原料の持続的な国内循環に向け、最善を尽くす

原油価格の下落により価格差が生じたからといって、リサイクル原料から原油由来原料に戻すのではなく、持続的にプラスチックを循環させる仕組みが必要だとメーカーにも呼びかけ、協力してもらいました。コロナ禍にあっても迅速に協力を得られたのは、ペットボトルを国内で循環させる重要性を共有していたからです。

2008年頃、中国が大量の使用済みペットボトルをプラスチック原料として日本から輸入していました。日本国内でも、「ボトルtoボトル」の当社の取り組みは評価できるものの、中国でリサイクル原料となるならば十分価値があるという考えが大勢を占めていました。私自身、「そんなことはない」と思っていましたので、国内循環の重要性を理解してもらうために何が必要なのかを考えました。

その時に注目したのが、二酸化炭素(CO2)排出です。しかし、国内循環が本当にCO2排出削減となるのかという検証データを探し求めたところ見当たりませんでした。それならば、自分たちで作っていこうとシンクタンクと一緒に調査し、国内で循環させることは、原油由来原料と比較してCO2排出量を63%も削減できるということを実証しました。国内循環をやればやるほどCO2排出削減が可能というわけです。2010年に発行された「ものづくり白書」にも、この効果が掲載され当社の国内循環の取り組みが、CO2排出量を削減するということを多くの方に知っていただきました。

こうした取り組みがあったからこそ、コロナ禍でもメーカーをはじめ多くの方から協力を得られたのだと思います。常に最悪を想定し、その中で最善を尽くす、そうであればこそ、どう対処していけば良いのかが見えてくる、そう信じて突き進みました。

国内循環の確立のために挑戦を続ける

ここ数年、東京2020大会の開催、SDGs(持続可能な開発目標)への機運高まりを受け、「ボトルtoボトル」の需要は大きく伸びるだろうと見込んで、2019年から年間売上の3割近い金額を投じて設備投資をおこなってきました。コロナ禍で見込みは大きく変わり、この影響は数年続くでしょう。

一方、飲料メーカーやアパレル業界だけでなく、欧米の家具メーカーからもポリエステル素材としてペットボトルのリサイクル原料を使いたいという声をいただいています。コロナ禍であれ、資源を循環させるための設備投資は不可欠という認識に立ち、この歩みを止めることはありません。

2018年には石油資源の利用抑制とCO2削減効果に加えて、ものづくりで重要なコスト低減が図れる新たな仕組みとして、世界初の生産技術となる「FtoPダイレクトリサイクル」を実現しました。従来は使用済ペットボトル→フレーク→ペレット→プリフォーム→ペットボトル成形という工程でしたが、フレークからダイレクトにプリフォームにしてペットボトルを作る技術を開発。工程が減ると熱を加える回数および工程ごとの輸送の回数も減るため、CO2排出削減とともにコストダウンも図れます。これは世界初の技術で特許も取得しており、2018年に世界第1号、2019年に世界第2号の設備を東日本FtoPファクトリー(茨城県笠間市)に設置・稼働させました。

SDGsの目標の中に「つくる責任 つかう責任」とあるように、リサイクルは企業の社会的責任であり、消費者の方も含めて一人ひとりのリサイクルへの意識を高めていくことも必要です。2020年1月には、東レと「&+(アンドプラス)」という、使用済みペットボトルを原料としたリサイクル繊維ブランドを立ち上げました。この一環としてユニクロと共同開発したペットボトルリサイクル繊維は高機能&高品質を実現し、アスリートのユニフォームなどに使用されています。

こうした取り組みを進める中で、例えば毎年国民体育大会が開催されていますが、2020年の茨城大会では当社のリサイクル繊維がメダルのリボンなどに採用されました。国民体育大会は、開催する都道府県が毎年変わり、全国から多くの選手の方が参加されます。大会で使用されるユニフォームやボランティアベストなどを通じて、開催地の市民の方、参加する選手の方に限りある資源を大切に使おうというメッセージになるはずです。こうした活動の積み重ねが国内循環の確立につながります。

「ボトルtoボトル」をはじめとする国内循環とリサイクルを定着させることで、限りある資源を次の世代に残していく。そのために挑戦を続けていきます。

  • 企業名 協栄産業株式会社
  • 所在地 〒 323-0807 栃木県小山市城東2-32-17
  • 創業年 1985年
  • 従業員数 150人
  • 業種 製造業
  • URL http://www.kyoei-rg.co.jp