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生産性と利益率の向上を考えながら、
新たにアルマイト事業も立ち上げて
事業の柱を増やす。

日本電鍍工業株式会社

回答者
代表取締役 伊藤 麻美
事業内容
めっき・表面技術加工

2年越しの新規事業が計画半ばでコロナ禍に。 取引先の休業やライン調整により売上も低減

当社は1956年に父が創業し、その後経営幹部を担っていた社員が引き継ぎました。
当時、時計のめっきが売り上げの9割を占め、父は依存度の高さに懸念を抱いていましたが、1991年に急逝。当時の社長はさらに腕時計向けに力を入れるべく設備投資を行いますが、バブル崩壊に伴い失敗が明らかに。それが要因で倒産の危機に瀕しました。
私が社長となってからは楽器、医療、宝飾品、精密部品など幅広い業界に取引を拡大し、現在は貴金属めっきを中心に無電解めっきなどまで多品種変量生産で対応しています。

貴金属めっきは、貴金属の相場に左右されます。今のように社会情勢が不安定になると金は高騰しますが、金が値上がりした分をめっき製品の単価に上乗せすることは難しく、利益率が下がってしまう。その結果、撤退する同業者も多いのが現状です。

私は常々、社員一人ひとりに幸せになってほしい、と話しています。経済的な面でいえば、会社全体の利益が増えなければ、お給料にも反映することができない。今の会社のあり方に縛られることなく考えてほしいと伝えています。社員もそれに応えるべく色々な提案をしてくれます。
その中の1つが、素材相場の変動幅が少ない、アルマイトというアルミの陽極酸化に着手することでした。

アルマイトは昔からある技術ですがそれゆえに設備の老朽化や廃業を考える企業が増えていることが課題となっています。反面、様々な産業で軽量化が求められアルミに変わっているものも多々あり、携帯電話、飛行機部品、自動車部品などにニーズは広がっています。そこに当社が進出するチャンスがあると考えたのです。

新規産業への社員の士気も高く、資金は私が調達するから思い切り進めてほしいと取り組みを始めました。
2018年暮れから2019年にかけて準備を進めました。当社で初めての管理職になった社員がアルマイトをしっかりと学びたいとの意見を受け、同分野を得意とする企業に半年間出向を受け入れてもらい、その後は戻って来て設備の設計・計画にあたり、彼の後輩たちで入社3〜4年目くらいの20代の社員も加わりました。

着々と準備する中、2020年になってから新型コロナウィルス感染症が拡大。業界はもとより世界中が大きなダメージを受けることになりました。しかし計画はまだ途中で、2020年秋の稼働を目指していたところです。
また、4月5月の頃は緊急事態宣言が出され、取引先がリモートワークや交代制勤務になるなど生産性が落ち、めっきの仕事も入ってこないので当社の売上も2割ほど減少しました。

コロナ禍にも動じず。 社員たちとともに進める

コロナ禍になったからといって進行中のアルマイト事業計画を止めることなど全く考えませんでした。経営をしていれば良い時も悪い時もあるのは当然、いちいち動じていられません。社員がやりたいと言ったことはやらせてみる、失敗しても成長の糧になる。やってみようと決めたからには前進あるのみ。この新規事業のための設備投資資金を日本政策公庫から借り入れ、2020年11月に竣工式を行いました。

すると、その時に社員が「いずれ全社員が高級車を買える会社にしていこう」と言ったのです。それくらい給料を増やせる会社にするため利益を増やしていくという意欲の表現なのですが、私自身もその気持ちに応えていかなくてはと決意しました。

こうして立ち上げたアルマイト事業は、今は自動車関係の部品の受注が来ていますが、いずれはスマートフォンなども手がけていきたい。アルマイトは機能と色の管理が重要で、そこには当社の確かな技術が活かせるので、新しいマーケットを作っていくことも可能ではないかと思います。

コロナ禍の影響で売上が落ち込んだ分は、タイミングよく新たな取引先が開拓できたことにより補填ができました。2020年1月の展示会に出展した折にお声がけいただいたのですが、対応が迅速で説明も解りやすいと評価を頂き、当社を選んでいただけました。日々社員とのコミュニケーションを大事にして皆で夢に向かっていこうと頑張っている姿勢が幸運を呼び込み、ピンチを救ってくれたのかもしれません。社員の士気の高さが当社の宝だと改めて感謝しています。

仕事を通じて社員たちに楽しみや喜びを実感してほしい

今回、新型ウイルスという新たな敵が出現し、地球がどれだけ小さくなったかを象徴するスピードで世界中に感染が拡大しついには南極にまで及びました。何がどういうことに発展していくかわからない、想定外のことが起こり得ることを痛感しました。
この災禍によりオリンピックが1年延期となりましたが、よりアスリートのための平和の祭典になるようなあり方をもう一度考え、その変革のきっかけとなる2021年になることを期待しています。

Afterコロナではこれまでの生活様式や企業活動から変わるので、柔軟かつ自在に変化を捉えていくべきです。
当社は社員がやりたいという気持ちを重視し、チャレンジを後押しすることが社内に根付いています。人生においても、会社で過ごす時間は少なくありません。仕事を通じて社員一人ひとりが喜びや楽しみなどの達成感を得ていくことが当社の成長にもつながり、社員の幸せにもつながります。そのためには、今のめっきの業態に依存する必要はなく、食でも美容でも可能性があるならやってみればいい。そんな話も日頃から社員にしています。

2050カーボンニュートラルなど環境問題対策が我が国においても掲げられていますが、環境を守るためにはコストも必要で、その方法を考えるのは人です。人に我慢させてまで環境を守るというのは楽しくないというのが私の考え。
自分たちが成長を実感しつつ、環境に優しい未来に向けての取り組みの両立を進めていきたいと思います。

  • 企業名 日本電鍍工業株式会社
  • 所在地 〒 331-0823 埼玉県さいたま市北区日進町1-137
  • 創業年 1958年
  • 従業員数 72人
  • 業種 製造業
  • URL http://www.nihondento.com