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鉄道模型メーカーとして、
コンテストを通じ
次世代のものづくりの輪を広げる。

株式会社関水金属

回答者
代表取締役社長 加藤 浩
事業内容
“KATO”Nゲージ・HOゲージ鉄道模型の企画、製造、販売

全国の高校生が参加する鉄道模型コンテストの開催が危ぶまれる

実物をリアルに再現して楽しむ鉄道模型は、日本はもちろん欧米にも多くの愛好家がおり、Nゲージのパイオニアメーカーである当社は国内外の鉄道を網羅する模型製品を企画、製造しています。
本社は新宿、工場は埼玉にあり、米国にも現地法人があります。
新型コロナウィルス感染症拡大の影響の中でも、当社は感染防止対策を徹底しながら工場の操業を止めることなく安定供給を続け、巣篭もり需要に応えることができました。

その反面、海外からパーツが入荷できないので生産スケジュールを大幅に変えなくてはいけない、取引先である販売店が休業して販売できないなどコロナによるダメージも被りました。
当社が特別協賛し私自身も代表理事を務めている全国の高校生を対象にした「鉄道模型コンテスト」、通称「鉄コン」の開催は大きな影響を受けました。
第12回となる2020年は11月に東京ビッグサイトで開催する予定でしたが、例年2万人の来場者がある大規模イベントなので開催は難しい。しかし、高校生活は3年間だけだから、なんとか開催してあげたい。
高校野球に甲子園大会があるように、この鉄コンは鉄道好きな高校生にとっての甲子園のような存在です。2000年から鉄道模型愛好家の方が中心になって「鉄道模型コンベンション」を開催してきており、その中でやっていた高校生向けのコンテストを2015年から独立させたもので、趣味の世界に留まらず教育の視点にも重きを置き、全国から約150校の応募があるほど人気が定着していました。

私はアメリカでSTEAM教育に出会い、鉄コンにそれを取り入れたいと考えていました。
STEAM教育とはScience,Technology,Engineering,Art,Mathematicsの各分野を取り入れた総合教育という観点からものづくりを行うこと。2018年くらいから、東京大学の生産技術研究所の「次世代育成オフィス(ONG)」と連携して鉄道模型やジオラマの製作を通じたSTEAM教育を推進しています。
中高一貫校も多いことから中学生を対象とした冊子「STEAMで深まる鉄道模型」(日英版・電子版)の作成や、さらにもっとわかりやすく親近感が持てるよう小学生向けに「ジオラマくん」という絵本と体験キットのセットの販売など、着実に進めてきているところに、コロナで鉄コン開催不可の危機。

また、例年、鉄コンの優勝校の生徒をアメリカやドイツなど海外のイベントに派遣し英語でプレゼンテーションをしてもらうという副賞を設けており、貴重な経験を積む絶好の機会と捉えていましたが、もはや海外へ行くことも叶わなくなりました。

鉄コンをオンラインでライブ配信。見えてきた新しい時代の潮流

どんな方法なら鉄コンが実施できるか。
その答えは、オンライン開催でした。会場からYouTubeを使って生中継することにしたのです。
コロナの影響で学校が休校になったり思うように部活動ができなかったりしたため、参加校は例年より少ない105校。前年から自社で製作して使っていた「鉄コンアプリ」も拡充し、1校ごとの学校紹介と受賞作品の紹介、YouTubeで製作動画をアップするほか、投票機能などもつけました。このアプリは無料でダウンロードでき、どなたでも観られます。

鉄コンの開催をオンラインにするなど、コロナで余儀なくされた色々な経験は、afterコロナでも活かせるので、よい変化だと捉えています。今までは放送局のような大きなメディアが主体だったのに対して、自由に小回りのきくライブ配信が増えていくでしょう。

当社で毎月行っている販売店向けの新製品説明会も、緊急事態宣言中にオンラインで実施したことがきっかけとなり、その後も来社による説明会と併せてライブ配信を行うようになりました。
これにより、来社しなくても新製品の説明や試作品を見ることができると販売店にも好評ですし、オンラインでも参加できるため密にならないメリットもあります。

また、従来は都心に通勤し都心のお店で購入していた方々が、テレワークが増えて地元のお店で買うようになるなど新規のお客様が増えた取引先もありました。
こうした人の流れの変化は、新たな潮流になるでしょう。

地方が活性化し、地域コミュニティが再生する、そのようなニーズが高まってきており、当社も新たなビジネスプランを考えていきたいと思っています。

鉄道模型でものづくりの輪をローカルから全国に広げ、次世代教育に活かす

2021年は8月13日・14日に福岡で初めての鉄コン九州大会を開催する予定です。その翌週には恒例の鉄コン全国大会を新宿で開催します。

鉄コンで大事に思っているのは出展する高校の地域性です。その高校に近い地域の駅に鉄コン応募作品が飾られ、多くの方の目に触れることで、地域の良さに気付くきっかけにもなります。また、関心を持った若い世代の方が制作に取り組むことになれば、ものづくりの輪が日本各地のローカルなところから広がっていく姿を思い描くこともできます。

2021年の東京に世界が注目する時、それは東京だけではなく日本の魅力を知ってもらう機会でもあり、鉄道模型という切り口から、ものづくりの文化を紹介できたらと思います。
鉄道模型は、テレビやゲームなどと異なり、主体的でないと楽しめない。つまり、創造性を高め、感性を刺激するもの。それと同時に癒しの効果もあり、不登校の子どもが学校に行けるようになるためのきっかけに鉄道模型のクラブ活動が活用されることもあります。しかも、鉄道模型の愛好家は世界中にいますから、同じ趣味の方とつながれるという喜びも味わえます。

これからも鉄道模型事業や鉄コン開催により次世代の人材教育に役立てたら嬉しく思います。それは当社のビジョンのひとつとも言えましょう。

  • 企業名 株式会社関水金属
  • 所在地 〒 161-0031 東京都新宿区西落合1-30-15
  • 創業年 1957年
  • 従業員数 400人
  • 業種 製造業
  • URL http://www.katomodels.com