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100年の時を越えて酒造りを復活。品質に高い評価を得るもコロナ禍が打撃。揺るぎない技術で立ち向かう。

株式会社若松

回答者
代表取締役 齊藤 俊一
事業内容
酒造・不動産

コロナ禍で都心部の飲食店は、ダメージが最たるエリアに

東京都港区芝のわずか22坪の土地の4階建ての小さなビルで東京の水道水を用いて作る日本酒という、従来の酒造りの常識を覆してきたのが私たちの商い。
勇気ある経営大賞特別賞を受賞しやっと軌道に乗ってきた手応えを感じ、2019年12月の売上は前年比4割増、2020年1月も好調、2月が前年並み。
しかし、3月の売上15%減が今回の影響の始まりでした。

当社の元々の酒造業売上内訳は自社店舗等の小売3割、酒販店を通じて飲食店向けが7割を占めており、コロナ禍で飲食店が大打撃を受けたため受注が激減。緊急事態宣言発令から飲食店や企業がほとんど休業したので4月の売上は9割減となりました。
自社店舗での販売や飲食の提供も休業し、売上がほとんど見込めない中でも、酒造りは仕込んだら途中でやめる訳にはいかないので、5月の連休明けに仕上げるまで醸造所は稼働させました。

初春に新型コロナウイルス感染症拡大のニュースを知った当初は、ここまで自社の事業に影響が及んで来るとは思ってもいませんでした。
これまでにない都心での酒造りで販売先も都心という商売に矜持を持ってきたのですが、コロナ禍では郊外より都心部の飲食店のダメージが大きく、それはそのまま当社の痛手となってしまったのです。

東京ならではのよい酒作りにこだわってきた努力の積み重ねから芽吹いたチャンス

東京都心で作るという希少な酒だから、東京で味わう、東京に来た方がお土産に買っていただこうという思いで販売をしてきました。
しかし、コロナ禍で東京への往来が制限され、外食でお酒を楽しむこともできない状況になってしまったためターゲットを転換。当社の酒造りのコンセプトである「江戸開城」を知っている方だけでなく広く多くの方に味わっていただこうと考えました。

当社の前身は江戸時代に東京・芝で造り酒屋を営んでいた若松屋で薩摩藩の御用商人であり、西郷隆盛らの密談場所に使われ、結果的に江戸城無血開城を成し遂げた歴史と繋がっています。
このコンセプトを大事にすることは変わらず、ターゲットを広げる戦略でした。

その背景にあるのが、2019年から開発し2020年2月から発売していた新製品。
当社杜氏の寺澤が千葉県の研究所で発見してきた、1898(明治31)年に最初に純粋培養されたという酵母が江戸酵母、東京酵母と命名され、それを使って『オール江戸』と『オール東京』という酒造りに取り組んできました。

これにより当社の新たな強みが増えたこともあり以前からご提案をいただいていた大手総合スーパーとの新たな取引が始まりました。都内のショッピングモールなどで当社の日本酒を販売していただけることになりました。5月にオープンした旗艦店をはじめ、約10店舗で扱われています。新たな取引先の開拓により激減していた売上はかなり補うことができました。
東京23区唯一の地酒ということで、全国からお声がけをいただき、酒販店や酒屋との取引は神奈川県など近隣県や、北海道や東北でも始まりました。

自社では5月の連休明けからオンラインショップをオープンし受注伸びています。
何とか6月以降の売上は前年比7割〜8割で、徐々に前年並みに回復し、11月は前年比を超える受注をいただきました。

コロナ禍だからとむやみに動じず、自分たちのコンセプトを変えずに丁寧な仕事をしてきたから、ピンチの中でもチャンスが来て、事業の発展に結びついたのではないかと思います。

麹の特許技術を用いて、日本の発酵文化を世界に発信していきたい

当社製品のラベルをお願いしている京都シールレーベルと共同で制作した酒瓶のラベルが、2018年第30回世界ラベルコンテスト(於:米国)の複合印刷部門で入賞し審査員特別賞を受賞していました。
波や富士を描いた北斎風のデザインと特殊印刷技術が評価されたもの。このラベルを使った自社の最高級品『オール江戸』は、訪日外国人の方々に喜んでいただけるのではないかと期待しています。
江戸酵母と東京の水道水を使ったお酒で東京をアピールしたいと思います。

日本酒造りに欠かせない、麹をより小さいスペースで造る技術を開発し、2020年9月に「製麴装置及びそれを用いた製麴方法」として特許を取得しました。当社が特許を取得した製麹装置を使って、2020年12月に味噌と醤油の製造認可を得て販売していく予定です。
東京都港区初の味噌作り・醤油作りの事業で、多くの方々に発酵文化の魅力を広めたいと考えています。

従来、麹は広さなどの環境が揃った場所でしか作れないとされてきましたが、当社の技術によりコンパクトな場所でも伝承技術と同じレベルの麹が可能になりました。
さらに可動式も可能なので、コンパクトな酒作りの設備を搭載したコンテナを作って移動すれば、場所を選びません。例えば、2025年の大阪万博でそれを展開し、高精度な発酵文化、和食文化を披露できれば面白いとワクワクしています。

  • 企業名 株式会社若松
  • 所在地 〒 108-0014 東京都港区芝4-7-10
  • 創業年 1812年
  • 従業員数 5人
  • 業種 製造業
  • URL http://tokyoportbrewery.wkmty.com/